友達からね、うち弟が凄いバカなんだけど、って電話がかかってきたんですけどね。
わざわざイタリアから。
どういうことよ、これ。
姉弟喧嘩は姉弟のなかでおさめろよ……。
それでわざわざ海の向こうから電話かけてくるわけじゃん。
時差も考えないでさ。
ラテン系は思い立ったら吉日ですよ。
変な所でやたらフットワーク軽いよね。
それでわざわざ海の向こうから電話かけてきた姉弟喧嘩の理由がさあ。
超しょうもない理由だったんだけど。
なんかあれなんだって、友達の弟がゲームソフト買ったらしいのね。
それが60ユーロかなんかだったんだって。
70ドルぐらいかな、ドルにすると。
それで友達は、バカじゃないの、って言ったらしいのね。
ゲームソフトに60ユーロも使うなんて、って。
友達は全然ゲームとかしないからね。
そしたら彼に言われたんだって。
お前、500ユーロの化粧品買ってるくせに、なんで俺が60ユーロのゲームソフト買うのにグダグダ言うんだよ、って。
それが友達の怒りに触れたみたいね。
500ユーロって600ドルぐらいね。
もう超しょうむないんだけど。
子供の喧嘩のほうがもっとましな理由あると思うぞ。
いいじゃん、60ユーロのゲームソフト買ったって。
彼にはそれだけの価値があるゲームソフトなんでしょ。
彼も彼でさあ、友達のたわごとに乗っからないで流しとけばいいのにな。
でも売り言葉に買い言葉とはいえ、自分は500ユーロの化粧品買って云々は余計だったよね。
彼にとって60ユーロのゲームソフトがそれだけ価値があるように、友達にとっては500ユーロの化粧品はそれだけ価値があるもんなんだろうしな。
まあ、いくら姉弟とはいえ、物に対する価値観なんて人それぞれだろうし、そこら辺には口出さないほうがいいと思うぞ。
まあ、でも私もさあ、お兄ちゃんに1回言っちゃったことあったけどね。
お兄ちゃん、頭おかしいんじゃないの？、って。
結構前の話なんだけどね。
遊戯王カードをさ、お兄ちゃん買ったのよ。
買った時は値段とか知らなかったんだけどさ、後から知ったんだけどね、桁間違えてるのかと思ったよ。
遊戯王カードってさ、言っちゃえばさ、綺麗な絵が描いてる紙じゃん。
これがね、高級車を買うとかなら全然わかるのよ。
高級車は無駄、っていう人もいるけどさあ、でもまあ、車ってトランスポーテ―ションじゃん。
毎日の生活にいる物じゃん。
遊戯王カード毎日の生活にいるか？
まあ、でも妹に頭おかしんじゃないの？、って思われようが、桁間違えてるんじゃない？、って思われようが、手に入れる価値があるものだったんだろうねえ、私のお兄ちゃんにとっては。
……そう過去形。
なんか今は全く、興味の‘’き‘’の字もないらしいよ。
お兄ちゃん飽き性すぎ。
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